「リビングのフローリングは、桜にしましょう。玄関の土間は、掃除もしやすいので、御影石にしましょうか?お風呂とトイレも同じのね。
廊下は、とってもいい○○(すみません、名前を忘れました)っていう木が手に入ったので、これを使いましょう。素人さんには価値がよく分からないかも知れないけど、とても高級な木だよ。こんないい木、俺もめったに使えないよ。
いやぁ、本当に、いい家になるよ。」
このときは打ち合わせに同席していた私も、疑問を隠せませんでした。
そして、母と妹も。
玄関からリビングに続く廊下に、そんなに高価な木は必要なのか。。。
木目の非常に美しい、黒いフローリング。
私は、実家以外でこれが使われているのを、今まで見たことがありません。
「予算的なことを考えると、外壁は鋼板かな」とI建築さん。
家族みんなが、鋼板でなはく、もう少し素朴な風合いの、塗りのような風合いの外壁を希望していたのです。
「だったら、廊下の木はそんなに高級なものでなくてもいいので、外壁を違うものにしたいのですが。」とこちらから希望を出すと、
「外壁なんて、どうせ何年か後にメンテナンスをしなきゃならんから、そのときに変えればいいんじゃないの?」とI建築さん。
「いや、でも普通の鋼板はなんかイヤなんです」
「でも、廊下の床材を変えたぐらいじゃ外壁できないよ。それに、使う木に関しては譲れないね。俺の、作品でもあるんだから、自分が使いたいって思うものしか使いたくないね。俺に任せておけば、絶対にいい家になるよ。」
・・・・。
もはやそこには、施主である母や妹が希望を出す余地はありませんでした。
さらにこちらが強く出て行けば、「もうやらない」といわれかねない雰囲気。
私なら、「じゃぁ結構です」と決別するかもしれませんが、当時の母と妹にはそれをする勇気はなかったのです。
もう、完全に、大工さんに家をつくっていただくという立場のようなものが、そこには確立されつつありました。
住まい手と、造り手の関係・・・。
それはパートナーではなく、上下の関係が。。。
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