水害に遭ったための、建て替え。
水につかった恐怖と悔しさが、母にも妹にも、そして私と夫にも強く心に刻まれていました。
もうこんな思いを二度としなくてもいいように・・・。
解体後、もともとの家が建っていたところから、さらに1mほどの高さまで盛土をすることにしました。
実家は西面に道路。南には隣家。北と東はぐるっと田んぼに囲まれています。
鉄筋を通したブロックで土留めを造り、そこに山土を入れました。
土を入れ、約一ヶ月ほどでしょうか?重機を使い、ひたすら転圧を繰り返していました。
それはもう、隣家から「振動で気分が悪くなる」とクレームがでるほど。
お隣さんにお会いするたびに、頭を下げる母と妹。
I建築さんからは、「振動や音で迷惑をかけるかもしれませんが、家を造っているんだから多少のことは大目に見て欲しい」というようなことをお隣さんは言われたそうです。
そこもまた、お隣さんの怒りに触れたようなのですが・・・。
母も妹も、I建築さんのされている作業には何の疑問も持ってはいないようだったのですが、私の中では、また一つの疑問が出てきていました。
「水につかっているようなところだし、二方向を田んぼに囲まれているような場所で、本当に転圧だけで大丈夫なの?」
真剣に基礎補強のことを調べていたわけではなかったのですが、杭を打ったりする工事のことをちょっとだけ聞きかじり、転圧だけの工事に疑問を持たずにはいられませんでした。
そんな思いをさりげなくI建築さんにぶつけてみると・・・
「経験から言って、この工事で問題ないよ!杭は、もともとあった基礎の下に入ってるし、問題ないね。まぁ、任せといてくれ!」
それでも。。。
転圧するだけで、本当に大丈夫なのか?
漠然とした不安感のようなものを私は持っていましたが、実家の家づくりは進んで行くことになりました。
私は、それ以上強く言うことができなかったのです。
母はもう、I建築さんのおっしゃることに全て従おうと決めていましたし、私も、
「お姉さんはもう結婚して出てってるんでしょ。だったら、あんた関係ないでしょ。まして、婿さんが口を出してくることじゃないよね。お母さんと妹さんがいいって言ってるんだから、それでいいだろ!」
そう言われたことが、心の片隅でいつまでもくすぶっていたのです。
それが本当の意味での、”おそろしいこと”への入り口だったということは、随分後になって知らされることとなりました。
私の家づくりを通じて出会った職人さんや、わが家に関わってくださった大工さんから。。。
もしかしたら、この地盤を作っているときが、母たちに残された、引き返すための最後のチャンスだったのかもしれません。
いや、もしかしたら、今までいくつもあったチャンスをことごとく逃し、もう後戻りできないところまで来てしまっていたのかもしれません。
どちらにしても、それはもう、過ぎ去ってしまった時間。。。
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