建てちゃった! ハイムbj♪
2006年9月。突然思い立った、マイホーム建築。 いくつかの候補の中から運命を感じて決めた我が家。 それがセキスイハイムのbjでした。 2007年4月、ついに建っちゃいました!我が家が♪

■ プロフィール

Author:あぶりしゃけ
40代の夫と、8歳の息子がいる主婦。アートと音楽と旅行が大好き。それから、今まで出会った、そしてこれから出会うたくさんの人たちも・・・。
美しいもの、気持ちのいいものにとことんこだわって建てた、ハイムbj。
現在、新しいお家で生活中です!愛知県在住。

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もう一つの家づくり(9)『・・・分かってない!』
母の気遣いが通じたのか、工事は何事もなく順調に進みました。

母と妹が、仕事のために、大工さんが作業をされている時間に現場に行くことがほとんどできなかったので、何かあったとしても気付いていなかっただけなのかもしれません。

そして私も、現場から足が遠のいていました。
まだ一歳になるかならないかの息子の子育てが大変だったこと、そして、母と妹が私たちが住んでいたマンションの上階に仮住まいを構えたということもあったのですが。


水害に遭ったあの日から、約1年・・・。
母と妹にとって、やっと、安心して寛いで暮らせる家ができあがりました。

引渡しの日、母と妹は、確かに安堵と幸福感に満ちていました。

それでも。。。
私の中では、またしても一つの懸念ができてしまったのです。

引渡しの時にI建築さんから渡されたもの。
それは、いくつかの説明書と、家の鍵だけでした。

今以上に無知だった私にも、もらえるべきものがないことに、すぐに気がつきました。
それは・・・、保証書

電化製品や家具にだって保証書が付いているのに、家に保証書がないなんて!

それは、私が言うべきことではなかったのかもしれません。
でも、そのときの私は、「母と妹を、実家を守らなければならない」そんな気持ちにとらわれていたのです。
I建築さんにとって、私は悪者になってもかまわない。
ただ、言いたいことを言えない、言わない母と妹に代わって、私がしっかり言わなくては!

「保証書って言うのは、もらえないんですか?」

そう問いかけた私に、I建築さんは・・・、
「アンタは、相変わらず何も分かってないね。そんなことばかり言ってると、その内相手にされなくなるよ!最近の人は、なんかことあることに、やれ契約書だ、見積りだ、保証書だって言うけど、そんなただの紙切れがなんだって言うんだ!世の中って言うのは、契約じゃなくって、義理と人情で動いてるの。紙切れ一枚で、10年だけ保証すればいいって言うんだったら、出してやるよ。でも、そんなものより、俺の目の黒いうちは、いつでも来てやるよって言ってんの!言ってること、わかるか?どっちがトクだと思うの?」

俺の目の黒いうちは、いつでも来てやる。

この言葉は、母と妹にとっては、とても心強く、そしてありがたい言葉として聞こえていました。

目の黒いうち・・・。

それでも、その言葉を保証するものは何もありませんでした。
そして、母とそう歳のかわらないIさんの”目の黒いうち”があと何年あるのか・・・そんな疑問と不安が、いつまでも私の心の中にとどまっていました。


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もう一つの家づくり(8) 母の本音
私の中には一抹の不安が残ってはいましたが、それでも実家の家づくりはどんどん進んでいきました。

棟上式。

母は私と同じで大雑把な性格ですが、節目節目のセレモニーや、義理などを重んじる人です。
「ちゃんとした棟上式を!」
母の希望で、菓子撒きをして、近くで喫茶店を営む叔父の店でオードブルを用意してもらって、宴席を設けました。
大工さんたちにも、ご祝儀とお土産を用意して。

実家の家づくりでも、このときは祝福ムードで、幸せな、穏やかな時間が流れていました。

このまま無事に、いい家が建ってくれればいい・・・。
家族みんなが、そう思っていたに違いありません。。。


棟上を済ませ、毎日少しずつ形になっていく家。
でも、母も妹も、出来上がっていくさまを、大工さんたちの仕事とともに見ることはほとんどできませんでした。
二人とも仕事をしていましたので、5時過ぎに仕事を終えて現場に向かうと、大工さんたちはもう仕事を終える時間。
母と妹の仕事が休みな土日は、大工さんたちもやっぱりお休みされていました。
私も、Iさんに言われた言葉が引っかかって、一人で現場を見に行くことをためらい続けていました。

それでも・・・。
母は、見にいけないことをうめるかのように、毎日コーヒーをお出しし続けていました。
叔父の店は現場から5分ほどのところでしたので、叔父の店のコーヒーチケットを1ヶ月分の単位で購入し、Iさんにお渡ししていたのです。

「いつでも自由に息抜きにいかれてくださいね」
母なりの気遣い・・・。

でも、木造在来のお家は、大工さん一人でできるものではありません。
毎日、5人から10人ほどの大工さんでのお仕事。
全員の大工さんが、毎日コーヒーを飲みに行かれると、かなりの金額になるのです。
叔父も、姉が家を建ててるからとはいえ、商売ですからしっかりと料金はとるわけです。。。

毎日毎日、コーヒーを飲みに行ってもらって、何千円も使うのはどうなの?
お家が出来上がるまでにかかるコーヒー代をざくっと考えただけでも、きっとものすごい金額になります。
それだけの予算があれば、もっと違うところに予算を回すことができるんじゃないかと思ったのです。

コーヒーは、毎日じゃなくてもいいんじゃないの?
毎日喫茶店じゃなくても、たまには缶コーヒーやペットボトルのお茶でも、「お疲れ様です」っていう気持ちさえ伝えられれば、それでいいんじゃないの?

朝、会社に行く前においていってもいいし、差し入れを届けるためならI建築さんに嫌われている私でもできるはず。

ある日、母に思っていたことを正直に話してみました。
すると、母から返ってきた答えは・・・

「いいのよ。大工さんたちが気持ちよくお仕事をしてくださるなら。
こうやって毎日、喫茶店に行ってもらって息抜きしてもらうことも、ちゃんと建ててもらうために必要なことなんじゃないの?
最初から、そういうことも計算して予算を決めてるから大丈夫よ。
だって、こういうところでケチって、大工さんに気分を害されたら、
柱とか断熱材とか抜かれちゃうかもしれないでしょ。
そのことのほうが、よっぽど怖いわ・・・。


はじめて聞くことができた、母の本音でした。

ずっと、I建築さんのことを信頼しきってると思っていた母も、実は本当に信じきっているわけではなかった。。。
『家』という大切なものを人質にとられているような、そんな感覚。

でも、「柱が抜かれるかもしれない」そう思いながらもその人と続けていく家づくり。
それ自体に、価値があるものなのかどうか・・・。

今の私にも、その本当の答えは見つけ出せません。
いや、もしかしたら、私の中だけでは、もう答えが出ていることなのかもしれません。。。


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とっても嬉しく、励みになります
これからも、頑張って書き続けて行きます
末永く、どうぞよろしくお願いします♪
もう一つの家づくり(7)不安感・・・
実家の家づくりで、母が他のどんなことよりも強く希望していたのが、地盤を高くすることでした。

水害に遭ったための、建て替え。
水につかった恐怖と悔しさが、母にも妹にも、そして私と夫にも強く心に刻まれていました。

もうこんな思いを二度としなくてもいいように・・・。

解体後、もともとの家が建っていたところから、さらに1mほどの高さまで盛土をすることにしました。

実家は西面に道路。南には隣家。北と東はぐるっと田んぼに囲まれています。
鉄筋を通したブロックで土留めを造り、そこに山土を入れました。
土を入れ、約一ヶ月ほどでしょうか?重機を使い、ひたすら転圧を繰り返していました。

それはもう、隣家から「振動で気分が悪くなる」とクレームがでるほど。
お隣さんにお会いするたびに、頭を下げる母と妹。
I建築さんからは、「振動や音で迷惑をかけるかもしれませんが、家を造っているんだから多少のことは大目に見て欲しい」というようなことをお隣さんは言われたそうです。
そこもまた、お隣さんの怒りに触れたようなのですが・・・。


母も妹も、I建築さんのされている作業には何の疑問も持ってはいないようだったのですが、私の中では、また一つの疑問が出てきていました。

「水につかっているようなところだし、二方向を田んぼに囲まれているような場所で、本当に転圧だけで大丈夫なの?」
真剣に基礎補強のことを調べていたわけではなかったのですが、杭を打ったりする工事のことをちょっとだけ聞きかじり、転圧だけの工事に疑問を持たずにはいられませんでした。

そんな思いをさりげなくI建築さんにぶつけてみると・・・
「経験から言って、この工事で問題ないよ!杭は、もともとあった基礎の下に入ってるし、問題ないね。まぁ、任せといてくれ!」

それでも。。。
転圧するだけで、本当に大丈夫なのか?

漠然とした不安感のようなものを私は持っていましたが、実家の家づくりは進んで行くことになりました。
私は、それ以上強く言うことができなかったのです。

母はもう、I建築さんのおっしゃることに全て従おうと決めていましたし、私も、
「お姉さんはもう結婚して出てってるんでしょ。だったら、あんた関係ないでしょ。まして、婿さんが口を出してくることじゃないよね。お母さんと妹さんがいいって言ってるんだから、それでいいだろ!」
そう言われたことが、心の片隅でいつまでもくすぶっていたのです。


それが本当の意味での、”おそろしいこと”への入り口だったということは、随分後になって知らされることとなりました。
私の家づくりを通じて出会った職人さんや、わが家に関わってくださった大工さんから。。。


もしかしたら、この地盤を作っているときが、母たちに残された、引き返すための最後のチャンスだったのかもしれません。
いや、もしかしたら、今までいくつもあったチャンスをことごとく逃し、もう後戻りできないところまで来てしまっていたのかもしれません。

どちらにしても、それはもう、過ぎ去ってしまった時間。。。


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もう一つの家づくり(6)母の涙
それぞれの思いを抱えながらも、それでも着工に向けて、確実に進んでいました。

解体工事開始まであと1ヶ月ほどの頃、私たちが住んでいたマンションの上の階にに空きが出て、母と妹はとりあえずそこを仮住まいにすることになりました。

仮住まいへの引越作業。

水害で水につかった家の中を片付けるときに、随分と捨てるものとそうじゃないものを仕分けしたのですが、30年近く暮らしてきた家。
引越となると、今まで仕舞いこんだまま何年も出していなかったような荷物まで出てきました。

それを、とっておくもの、リサイクルショップに持っていく物、捨てるものと仕分けする作業。
とりあえず大きなものだけは引越し屋さんにお願いするとして、小さなものは少しずつ自分たちで仮住まいに運ぶ毎日。

こんな作業を進めていることを知ったI建築さんが、こんなことを申し出てくださいました。

「どうせ解体したら全部廃棄物になるんだから、いらないものは全部、残しておいてもらってかまわんよ」

この申し出に、母はとても喜びました。
何を捨てるのにもお金がかかる時代ですから。
母にとっては、嬉しい気遣い、サービスだと感じたのでしょう。


ただ・・・
それから一週間ほどで異変に気づきました。

もって行こうか迷っていたものや、すぐに使わないので後から運ぼうと思っていたものがいくつかなくなっていたのです。

父の形見でもある、囲碁や将棋
掛け軸

花瓶
大理石のようなものでできた置物・・・

例え迷っていたようなものでも、なくなってしまうと悔しく思うもの。
「Iさんが持っていかれたのかしら。もう処分されちゃったのかしら。」
母の中で、このときはじめて、本当にI建築さんに対する疑いの気持ちが少しだけ湧いたのかもしれません。

そんな母を見て、妹がI建築さんに確認を取ると
「いいものなのに、いらないのかと思って、勿体無くてウチに持ってきてたよ」
そう言って、探していたものを出してくれました。

I建築さんの申し出。
今の私たちなら、最初からいぶかしく思い辞退させていただいたでしょう。
ただ、
自分から積極的に調べることもせずに、とにかくI建築さんを信じようとしていた母は、純粋に喜び、そして落胆しました。


そんなことがありながらも、あっという間に1ヶ月は過ぎ、解体当日。
家族揃って、解体される家を見ていました。
水に浸かり、床はめくれ壁は落ち、もう住めないと判断した家。

それでも、そんな家を目の前にして、母の目から涙がこぼれたのを、私も妹も見逃しませんでした。

そして、
「お父さんは許してくれるよね。
この家を建ててくれた、I建築さんがまた建ててくれるんだから」
そうつぶやいたことも。。。

母にとっては、父との思い出と家族の歴史が詰まった家。
それは私と妹にとっても、生まれてからの歴史が詰まっていた家でもありました。

でも、いつまでも立ち止まっているわけには行きません。
新しい家での新しい生活に思いをはせ、もう前に進んでいくしかありませんでした。


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もう一つの家づくり(5)『関係ないでしょう』
母と妹には、諦めが・・・。
私と夫の中には、疑問が・・・。

I建築さんとの間に、微妙な距離感や気持ち悪い関係のようなものを感じていました。
もしかしたら、それは、私たち自らが作り出していたのかもしれません。

微妙な違和感を正面からなくしていく努力をせずに、疑念を積もらせるばかりだったから?
それとも、危険をあらかじめ察知する動物たちの感覚に近かったのでしょうか・・・。


限られた予算を、本当に的確に使われているのか?
私たちは、どうしてもそんな疑問から解き放たれることができないでいました。

そこに出てきた、見積書の明細。
見積書には、すべて一式として記入されていました。
クロス一式
床材一式
キッチン一式
トイレ一式・・・・

私の夫は、ずっと経理関係の仕事をしています。
仕事でいくつもの見積書を見る中で、項目を見れば企業の姿勢や社内の状況、その会社がどんな会社なのか、経営努力をしているのかもなんとなく見えてくると言います。

その夫が・・・
「この見積書はかなりまずいよね。何かを隠そうとしているのか、それともずさんなのか。。。」と。

でも、夫がそういうまでもなく、私も妹も、その見積書がおかしいことに気がつきました。

全然、明細じゃないじゃん!

床材なら、どの箇所に使っているどの床材が面積あたりいくらで、どれくらいの広さで使っているのか。
そんなことが分からないと、予算に合わせて変更したりして考えていく材料にもならない。

「もうすこし、詳しい見積りを頂けるとありがたいんですが」
それは最初、母からI建築さんに伝えてもらいました。

そして、I建築さんの答えは、
「素人さんがそんなことを知ってどうするんですか?細かく書いたとしても、どうせ意味が分からないでしょ。こっちで、予算の中で上手くやってあげるから大丈夫だよ。どこで何を吹き込まれてきてるのか知らないけど、心配ないよ。大丈夫!」。

本来、人を疑うことが嫌いで、どんなことも荒立てたくない母は、「そこまでおっしゃるなら、お任せしておけばいいんじゃないの?」と。。。

それでも、私と夫と、そして妹の中では疑念が消えることはありませんでした。

「素人は素人なりに、いろいろ調べたりしたいんです。せめて、どの部屋にいくらぐらいかかってるかぐらいは、教えて欲しいんですけど。」
まだ私も若かったので、人を気遣う言葉づかいができなかったのかもしれません。
そのせいで、I建築さんの気分を害させてしまったのかも。

「前からずっと思ってたんだけど、お姉さんはもう結婚して出てってるんでしょ。だったら、あんた関係ないでしょ。まして、婿さんが口を出してくることじゃないよね。お母さんと妹さんがいいって言ってるんだから、それでいいだろ!」

本性を見た気がしました。

「でも、将来はもしかしたら私たちが母と一緒に住んで、面倒を見ることになるかもしれません。そのことは母からも頼まれていますし。それに、私の実家ですから。母と妹の家かもしれませんが、私の家でもあるんです。」

「でも、お金を出すのは、お母さんと妹さんでしょ。あんたは、少しでもお金を出すのか?お金を出さないなら、口も出さないで欲しいね。

私とI建築さんが、そんなやり取りをしたことを知った妹は、
「お姉ちゃん、もういいよ。怖いから・・・。」と。。。


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